Care & Maintenance

LA CORDONNERIE ANGLAISE のシューツリーを選ぶ理由

フランス発、“英国靴のための道具”という逆説

0. 結論:これは「香り」ではなく「型」を整える道具

シューツリーの価値は、消臭でも芳香でもなく、結局は 靴の“顔”を守ることに尽きます。
LA CORDONNERIE ANGLAISE(コルドヌリ アングレーズ)のシューツリーは、その目的に対してとても素直。
過剰に主張せず、しかし確実に「形」を戻してくれるシューツリーです。


1. まずは商品情報

LA CORDONNERIE ANGLAISE(LCA)シューツリー

  • 特徴:ブナ材/スプリットトゥ/真鍮リング
  • サイズ:39

価格の目安

  • 新品相場:おおむね 17,000円前後(店・為替・セールで変動)


2. LCAとは:フランス発なのに“Anglaise”を名乗る理由

LCAはフランスのブランドで、名前は “La Cordonnerie Anglaise(英国式靴職人)”
フランス発のブランドですが、ブランド名は完全に英国そのものです。

「英国靴(グッドイヤーのクラシック靴)に合う道具を作る」——
この思想が、ブランド名に最初から入っている。
フランスが英国靴文化に敬意を払って“英国式”を名乗る、この構図が面白いですね。


3. 形状と作り:効きが“上品”

私の持っているツリーの特徴はこのあたり。

  • ブナ材(Beech)系の木目
  • スプリットトゥ(割れトゥ)
  • ツインチューブ(ダブルスプリング)
  • ブラスリング(真鍮リング)
  • トゥ周りの通気穴

スプリットトゥ:シワを“押し消す”のではなく“戻す”

割れトゥは、つま先に横方向の張りを作る。
だから履きジワが強く出る靴ほど、見た目の差が出やすい。

ただし、強いツリーは危険でもあります。
革を伸ばしすぎると、靴のシルエットそのものが変わるから。
LCAはテンションが比較的マイルドで、戻しが自然。ここが良さ。

ツインチューブ:左右の押しが安定する

ツインチューブは、テンションが左右で安定しやすいので、片側だけ妙に押す感じが出にくい。
結果として、靴全体の“顔”が整いやすい。


4. ブナ材を選ぶ意味:「香り」より「形保持」へ

シューツリーの木材としては、シダー(杉)が定番です。理由は分かりやすくて、吸湿性と、靴箱を開けたときの香りが“効いている感”を作ってくれるから。

ただ、私がLCAのようなブナ材のツリーを評価しているのは、そこではありません。
ブナ材の良さは、どちらかというと 「余計な演出をせず、形を整える道具として割り切っている」ところです。

靴にとって一番効くのは、

  • 履きジワを戻す
  • トゥのラインを維持する
  • 左右のねじれを整える
    という形の管理。

一方で、湿気対策(いわゆる乾燥)は、シューツリーだけで決め切れるものではなく、結局は
ローテーション/風通し/保管環境(湿度)のほうが大切です。

だから私は「香りで気分を整える」より、まずは 形を戻す性能を重視しています。
この発想は、英国靴の“道具として淡々と手入れする”感じに近いと思っています。


5. 使い方のコツ:テンションは「軽く張る」で十分

  • 帰宅後、なるべく早めに入れる(革が温かいうちが戻りやすい)
  • 入れ方は トゥ→ヒール
  • テンションは 軽く張る程度
    → 強く突っ張らせると、甲が伸びてフィットが変わることがある

シューツリーは、攻める道具じゃなくて 守る道具です。


6. デザインとしても美しい:置いて絵になる“道具”

無垢材の素直な表情、真鍮パーツの控えめな光、ロゴプレートの意匠。
棚に戻しても「生活の美観」を壊さない。こういう道具は意外と少ない。


7. 使用例

参考までに、私は クロケット&ジョーンズのローファー(UK6)にこのツリー(39)を使っています。靴紹介の記事もぜひ。
やりすぎないのに、ちゃんと効くという印象は、そこで強く感じました。


最後に

「同じ靴でも、シューツリー次第で“疲れた顔”になるか、“整った顔”を保てるかが変わります。まずは1足、相性の良いツリーを手に入れてみて下さい。」

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